フォークリフトのハンドル操作は、一般的な乗用車とやや異なります。
乗用車の感覚でハンドルを操作すると、思ったように走行しにくかったり衝突の可能性があったりするため、基本的なハンドル操作をしっかり覚えておきましょう。
本記事では、フォークリフトの基本的なハンドル操作を分かりやすく説明します。
フォークリフトのハンドル操作の基本とコツ
フォークリフトを走行させる際の、ハンドル操作の基本とコツは以下の4つです。
・ハンドル操作は原則として左手で行う
・ハンドルは曲がりたい方向に回す
・ハンドル操作は小さくする
・ハンドルを切るタイミングを覚える
安全に運転を行うためにも、一つずつ詳細を確認していきましょう。
1. ハンドル操作は原則として左手で行う
フォークリフトを操作するときは、左手でハンドルを握り、右手は右足の太ももの上に軽く置いておくのが基本姿勢です。ハンドル操作も左手のみで行うのが原則ですので、まずは基本姿勢で運転することを意識しましょう。
なお、カウンターリフトの場合は席に座って操作しますが、リートフォークリフトの場合は座席がないので、終始立って操作します。
その場合も左手でハンドル操作を行うという基本は変わりませんが、右手はリーチレバーやリフトレバーなどの各種レバーに添えておくのが一般的です。
2. ハンドルは曲がりたい方向に回す
フォークリフトは、曲がりたい方向にハンドルを回すのが基本です。当たり前のように思えますが、駐車時など限られた場面でしかバック走行しない乗用車とは異なり、フォークリフトは車体の前に荷を積んで移動するため、前進と同じくらい頻繁にバック走行を行います。
バック走行時はどちらに回すとどっちの方向に曲がるのかとっさに判断しにくく、ハンドル操作を誤ってあらぬ方向に曲がってしまうケースも少なくありません。どちらに回すとどの方向に曲がるといった覚え方だと、いざというときに混乱しやすいので、曲がりたい方向にハンドルを回すと覚えておきましょう。
3. ハンドル操作は小さくする
フォークリフトは少しハンドルを回しただけでも、思った以上に大きな角度で曲がります。フォークリフトは前輪操舵の乗用車とは異なり、後輪が先に動く後輪操舵になっています。そのため、ハンドルを大きく切りすぎると外輪差によって軌道が大きく外に膨らみ、壁やモノに衝突してしまう可能性があります。特に、急にハンドルを大きく切ると車体のバランスが崩れ、横転などの事故につながる可能性もあります。
またハンドルを切った状態でタイヤを接触させると、荷重とバランスを取るための重り(カウンターウエイト)が接触方向に加重し、操向軸(オービット)への負担が大きくなります。荷を運搬しているときはさらに荷の重さも加わるので、場合によってはオービットが破損してしまうこともあり得ます。
このように、急激かつ大きなハンドル操作にはさまざまなリスクが伴うため、フォークリフトを操作するときはハンドルを小刻みに回すことを心がけましょう。
4. ハンドルを切るタイミングを覚える
フォークリフト操作では、ハンドルをどのタイミングで切るかが重要なポイントです。
前進走行の場合、バックレストが曲がり角の約30cm手前まで来たら、ハンドルを曲がりたい方向に約1回転半切ります。後進走行の場合は、曲がり角の1m手前に来たら、コーナーの内角とシートの中央部が重なった段階で、曲がりたい方向に約1回転半、ハンドルを切ってください。
フォークリフトが真っ直ぐ走らない原因
フォークリフトを運転していると、ハンドル位置は真っ直ぐで固定しているのに、左右どちらかに動いてしまうことがあります。
どこに合わせればハンドル位置がニュートラルになるのか判断できなくなるため、ハンドル操作に支障を来す原因となってしまいます。本項では、このような現象が起こる理由を大きく4つに分けてお伝えします。
1. タイヤが片減りしている
同じ時期に購入・交換したタイヤでも、走行の仕方によって減り方に左右差が生じる場合があります。例えば、左に比べて右のタイヤが摩耗している場合、車体が右に傾くので、ハンドル位置を真っ直ぐにしていても右方向に動いてしまいがちです。タイヤの減りは目視で確認できるため、ハンドル位置と走行する方向にズレが生じていると感じたら、まずタイヤが片減りしていないかチェックしましょう。
タイヤ交換が必要な場合は、摩耗が激しい方だけでなく、両方のタイヤを同時に交換してください。摩耗が大きい方だけを交換すると、タイヤの左右差が解消されず、今度は逆方向にハンドルが持って行かれる可能性があるので注意しましょう。
2. 舵角センサーの不良
舵角センサーとは、ステアリングホイールの角度を計測するパーツです。操舵の向きやハンドルのニュートラル位置、転舵角それぞれに応じた信号をコントロールユニットに送る役割を果たしています。そのため、舵角センサーに問題が生じるとハンドルのニュートラル位置にズレが生じる原因となります。舵角センサーは故障だけでなく、センサーに汚れが付着しただけでも不具合を起こす場合があるため、定期的にクリーニングなどのメンテナンスを行うことが必要です。
3. 可動部の摩耗
フォークリフトの足回りの可動部が摩耗すると、真っ直ぐ走るのが困難になる場合があります。可動部にはさまざまなパーツがあるため、ハンドル位置を真っ直ぐにしても直進できなくなった場合は、可動部のパーツを一つひとつ点検してみましょう。
4.パワステシリンダーの不良
パワーステアリングにはシリンダーが装着されており、油圧によって力を伝えることでハンドルを軽く切ることができます。しかしパワステシリンダーからオイル漏れが発生すると、油圧による力の伝道がスムーズにいかず、ハンドルを切る角度とタイヤの角度に微妙な差が生じてしまうことがあります。パワステシリンダーに不良がある場合は部品を修理・交換した上でオイルを補充しましょう。
フォークリフトを運転するときはハンドル操作の基本とコツをマスターしよう
フォークリフトは乗用車とはハンドル操作の感覚が異なるため、乗用車と同じようにハンドルを切ると外輪差が大きくなり、壁やものにぶつかる可能性があります。
荷を運搬している間はさらに加重がかかり、場合によっては車体が横転したり、操向軸が折れたりすることも。
フォークリフトのハンドルを操作する際は、なるべく小刻みにハンドルを回すことを心がけ、ハンドルの回しすぎに十分注意しましょう。
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フォークリフトのタイヤでコストダウンする方法
ハンドルの位置を真っ直ぐにしていても左右に進んでしまう場合は、タイヤの片減りや各種パーツの不具合などが考えられます。
タイヤの片減りは目視だけでも確認できるため、ハンドル操作に支障をきたすほど消耗していた場合は左右のタイヤの交換を検討しましょう。
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