エンジン式のフォークリフトは、マニュアルのダイレクト車とオートマのトルコン車の2つに分類されます。
ダイレクト車とトルコン車では、同じエンジン式でも操作の仕方が異なりますので、初めてフォークリフトに乗る方はもちろん、ダイレクト車からトルコン車に乗り替える方も基本的な操作方法を覚えておきましょう。
本記事では、フォークリフトのオートマ操作について詳しくご紹介していきます。
フォークリフトにおけるマニュアル車とオートマ車の違い
フォークリフトのマニュアル車とオートマ車では、ペダルの位置と種類、数に違いがあります。
マニュアル車の場合、左から順にクラッチペダル、ブレーキペダル、アクセルペダルの3つです。走行時は、クラッチペダルを大きく踏み込んだ状態で変速レバーを低速に入れ、徐々にアクセルペダルを踏み込みながらクラッチペダルを離していきます。
ペダルの扱い方はマニュアルの乗用車とほぼ共通しているので、マニュアル車を運転した経験のある方なら、あまり戸惑うことはないでしょう。
一方のオートマ車は、クラッチペダルの代わりにインチングペダルと呼ばれるペダルがついているのが特徴です。
オートマの乗用車の場合、ペダルはブレーキペダルとアクセルペダルの2つしかないので、インチングペダルはフォークリフトならではの特徴と言えるでしょう。
インチングペダルの役割
インチングペダルの役割は、フォークリフトでの作業を効率化することです。
フォークリフトの爪を上昇させるスピードはエンジンの回転数と比例しているため、アクセルを踏むほど爪を素早く上げられるようになります。
ただしアクセルを踏み込むと車両が前進してしまい、事故が起こるリスクが高くなります。
前後進レバーをニュートラルに入れておけば、アクセルを踏んでも車両は動かないので安全に作業できますが、荷を上げる度にレバーを切り替えるのはやや面倒です。
そんなときに活用したいのがインチングペダルです。インチングペダルを半分だけ踏み込むと、前後進レバーをニュートラルに入れた場合と同じ状態になるため、アクセルを踏んでも車体は動きません。いちいち前後進レバーを切り替えずに済むため、荷の持ち上げをスムーズかつ迅速に行うことができます。
またインチングペダルは最後まで踏み込むと、ブレーキがかかる仕組みです。
平地ならニュートラルに入れるだけで車体を固定できますが、坂道などで作業する場合、ニュートラルの状態ではタイヤが勝手に動いて坂道を下がっていってしまう可能性があります。
場合によっては重大な事故につながりかねません。
そんな時にインチングペダルを奥まで踏み込んでいればブレーキが利くので、坂道でも安全に作業を行うことが出来ます。
インチングペダルはフォークリフトならではの装備なので、マニュアル車しか運転したことがない方は戸惑うかもしれませんが、インチングペダルを使用するだけでも作業効率が大幅に上がるため、上手に活用してみましょう。
フォークリフトのオートマ操作を行うときの注意点
フォークリフトのオートマ操作を行う際、特に注意しておくべき点をお伝えします。
1. インチングペダルに足を載せたまま走行しない
インチングペダルに足を載せたまま走行していると、無意識のうちに自重でペダルを踏み込んでしまうことがあります。
インチングペダルを踏むと半クラッチ状態になるため、エンジンブレーキによる減速ができなくなります。
前述のとおり、インチングペダルを奥まで踏み込めばブレーキがかかりますが、そもそもインチングペダルを踏んでいる自覚がないと、なぜエンジンブレーキが効かないのか理解できず、パニックに陥ってしまう場合もあるため注意が必要です。
インチングペダルは基本的に荷を上げるときに使用するものなので、走行中はペダルに足をかけず、左足はペダルの脇に下ろしておきましょう。
2. 半クラッチ状態が続くとオーバーヒートのおそれあり
インチングペダルを軽く踏んだ半クラッチ状態を長時間続けると、トルクコンバーターがオーバーヒートする場合があります。
トルクコンバーターとは、オートマチックトランスミッションを構成するパーツの一つで、オートマ車の動力をエンジンからトランスミッションに伝える役割を果たします。オートマのフォークリフトがトルコン車と呼ばれるのは、マニュアル車にはないトルクコンパーター(トルコン)が搭載されているためです。
インチングペダルを踏み続けて半クラッチ状態が続くと、エンジンからトランスミッションに動力が伝わらず、トルクコンバーター内に熱が発生します。通常はトルクコンバーター内の熱を冷やすためのオイルクーラーが装備されていますが、冷却が追いつかなくなるとオーバーヒートを引き起こすこともあります。オーバーヒートが発生した場合、エンジンを切って内部の熱を冷やせば問題は解消されます。
ただし一度オーバーヒートさせるとパーツの劣化が進むため、インチングペダルで半クラッチ状態を長時間続けるのは控えた方が無難でしょう。
3. 前後進レバーを入れたまま作業しない
オートマのフォークリフト車は、アクセルを踏んでいなくても、クリープ現象によって車体が勝手に動きます。
マニュアル車の場合、クラッチをつなげてアクセルを踏まないと車体は動かないので、マニュアルからオートマに乗り換えた際にはしばしばブレーキを踏むのを忘れてしまいがちです。レバーをニュートラルに入れておけばクリープ現象は発生しないので、作業をする際は前後進レバーを入れないよう注意しましょう。
4. 坂道での作業にはサイドブレーキも使用する
インチングペダルを奥まで踏み込めば、坂道でも停車して作業することが可能です。
ただしインチングペダルへの過信は禁物で、作業に夢中になるあまりインチングペダルから足が離れてしまうと、ブレーキが効かなくなる恐れがあります。
インチングペダルは半分踏み込んだ状態ではブレーキが効かず、ニュートラル状態になるだけなので、他にストッパーがないと坂道を下がっていってしまう可能性もあります。
事故防止のためにも坂道の途中などで作業を行う際は、サイドブレーキも必ずかけるようにしましょう。
フォークリフトのオートマ操作ではインチングペダルをうまく活用しよう
オートマ仕様のフォークリフトには、マニュアル車のクラッチペダルの代わりにインチングペダルが装備されています。インチングペダルは軽く踏むとニュートラル状態に、奥まで押し込むとブレーキがかかる仕組みになっています。
フォークリフトの爪を上げるスピードはエンジンの回転数に比例しているため、インチングペダルを上手に活用すれば、車体を停止させたまま、爪を上げるスピードだけをアップさせることも可能です。
ただし、インチングペダルを踏んだままだとエンジンブレーキが効かなくなる他、長く半クラッチ状態が続くとオーバーヒートのリスクが高まるなど、いくつか注意しなければならない点もあります。
特にマニュアル車からオートマ車に乗り換えた方は、操作の違いに戸惑うこともあるため、慣れるまでは基本操作をしっかり押さえ、安全第一で慎重に作業しましょう。
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